見立て違いからの転用

[ 連載 ] 物のはなし
物のはなし #28 ポテトチップスのような豆皿

昔ながらの雑多な古道具屋で見つけ、来客用に購入した「灰皿」。

店主のお爺さんの見立てによると何と明治時代の代物だそうで、「明治」と走り書きした薄ピンクの付箋が、ペシッとおふだのように貼り付けてありました。
年代物にしては随分ぞんざいな扱いだなと疑いつつも、まあ偽物か本物かは別として、手に下げて屋外で喫煙してもらうのに丁度よいと、これまた年代物にしては疑わしい、破格の500円で連れて帰ることに。

すっかり我が家に馴染んで錆の味わいも増してきたころ、遊びに来た絵かきの友人の一服を経て、この灰皿の正体が発覚。灰皿ではなく油絵の「筆洗い」、しかも明治の物ではなく今でも買える現行品だったのです。

やっぱりね〜と大笑いしたわけですが、私としては、お爺さんに座布団一枚!

水が溜められ蓋もついて機能的、しかも大きさも佇まいも良いと揃って、これを灰皿に見立てた眼はお見事。筆洗いの用途を知った今でも、グッドプロダクトな灰皿だと思います。
しかし嘘を謳ってはいけません。ということで、やっぱり座布団はおあずけです。

見立て違いや勘違いも、なかなか良い発見に繋がることがある、というお話でした。